豊胸術による痛みはどれくらい続き、ピークはいつなのか

バストの大小は、女性が抱えるコンプレックスの中でも常に上位に位置します。特に小さ目の人は、ファッションを楽しめない、薄着のシーズンが近づくと憂鬱になる、異性にモテない等と悩んでいます。バストアップさせる方法として注目されてきたのが豊胸術ですが、具体的にどんな方法で行うのでしょう。

その種類や料金を紹介しながら、痛みのピーク等について解説していきます。

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豊胸術とは

乳房のサイズをアップさせる方法を豊胸術と言います。胸の筋肉を鍛えることによって、脂肪の塊である乳房の土台を強くし、全体的に底上げされた状態にするやり方もあります。しかし、一般的に行われているのは、乳房に異物を挿入したり、脂肪等を注入したりする手術です。

外観的な美しさや豊満さを高める美容施術であり、乳がん等の治療で摘出した乳房を再建する乳房再建術とは区別されます。また、あくまで美容上の理由で行われるため、二重まぶたの手術や脱毛施術等と同じように健康保険の適用外(自費診療)となります。

豊胸術の種類

ひと口に手術と言っても、方法は様々ですし、理由者のニーズやリクエストも多様です。乳房の形状や体形、あるいはライフスタイルの違いでもどの方法が最適なのかは変わってきます。全国には豊胸術を行っている美容クリニックが数多くあり、無料カウンセリングを通じて利用者にどんな手術を施せばいいのか提案してきました。

豊胸術は「人工乳腺法」「ヒアルロン酸注入豊胸法」「培養脂肪注入法」「エイジングブレスト豊胸法」の4種類に大別できます。

人工乳腺法とは

バストを2カップ以上大きくしたいという利用者に勧められている方法です。脇の下にある皺に沿って切開し、人工乳腺(インプラント)を挿入します。切開は1本だけ行いますし、縫合された跡は皺の中に紛れてしまうので目立たなくなります。

自然な状態に仕上がるというのが人工乳腺法のメリットのひとつです。バストが小さい人だけでなく、左右でサイズに差がある人、加齢による下垂に悩んでいる人、授乳後の形の変化にコンプレックスを抱えている人にも支持されています。

乳腺の組織を損傷させることがなく、感覚障害を誘発することもありません。使用されるインプラントは片胸で最大800ccほどになり、形状は「丸」や「しずく」があります。弾力性や感触に優れていること、動きがあること、効果が半永久的だということも特徴的です。

ヒアルロン酸注入豊胸法とは

ヒアルロン酸をバストに注入し、サイズアップさせる方法です。乳腺と胸筋の間に注射するだけで、メスを使って切開することはありません。手術に抵抗がある人に向いている施術ですし、施術に要する時間も15分〜30分くらいなので負担も軽減されます。

ヒアルロン酸はアレルギーの少ない成分として知られており、近年では、低吸収タイプを使用するクリニックが増えてきました。吸収が遅くなる分、大きくなったバストを保てる期間が長くなるからです。また、注入する部位を工夫すれば様々な目的に使えます。

綺麗な谷間をつくる、内側だけでなく外側にも張りを持たせる、加齢で痩せてしまったデコルテにボリュームを出す、といったことも可能になるのです。使用される量は片胸で最大300ccほどであり、インプラントよりもさらに柔らかいという点が特徴的です。

低ヒアルロン酸の場合は3年ほど持続します。

脂肪注入法とは

最初にサイズダウンしたい部位(脇腹や太腿等)から脂肪を取り、それを再利用することでバストメイクするという2段構えになる点が他の豊胸術と大きく異なります。体全体のスタイルを整えながら、コンプレックスを解決できるメリットがあります。

これまではバストに注入した脂肪が吸収され、定着率が低いというデメリットもありました。しかし、極細の注入針を用いることで、脂肪を少しずつ中に入れ、塊にならないような施術が可能になりました。バスト内で塊ができてしまうと、血管から脂肪細胞への栄養補給が行われず、多くが壊死してしまいます。

この壊死が吸収率の高さに連結してしまうことから、塊を減らす取り組みが進められてきたのです。極細針で大胸筋下~乳腺周辺の多層に注入できれば、脂肪が薄く入り、重なり合うことがなくなります。脂肪細胞に栄養が行き届きやすくなり、定着率がアップするというわけです。

片胸につき最大で300cc程度の脂肪が使われますが、元々痩せている利用者は吸引できる脂肪の量が少なくなるため、医師と相談する必要があります。中には吸収されてしまう脂肪があるものの、定着した脂肪なら半永久的に持続します。

エイジングブレスト豊胸法

以前にインプラントを挿入したことのある利用者向けの豊胸術です。インプラント手術を行ったものの仕上がりが不自然で満足できないという人、インプラントを抜去したいが小さいバストにもどってしまうのは避けたいという人に勧められています。

インプラントを抜去した後、被膜内にヒアルロン酸を注入して形状を維持・改善します。手術と注入を行わなければならないため手軽さはありませんが、インプラントよりも柔らかく、異物感のない仕上がりになるというメリットがあります。

半永久的に残ってしまうインプラントの場合、加齢すると年齢不相応な形状だと感じる人もいます。より自然なラインと張りを求める人に評価が高く、ある程度吸収されるヒアルロン酸のデメリットがメリットとして生かされている手法です。

片胸で最大300ccほど注入されます。

豊胸術の料金

バストの形状や大きさは人それぞれで、コンプレックスも同様です。また、体質や体格によってもセレクトできる豊胸術は変わりますし、料金設定も大きな判断要素になります。また、美容施術の特徴は、その人に合った方法をオーダーメイドで選ぶという点にあります。

4種類の豊胸術を単独で行うこともあれば、各手法や各素材をミックスしながら進められるケースもあります。中には、他のクリニックで行われた施術を修正するメニューを用意していたり、鳩胸や漏斗胸等の形成しにくい症状に対応したりするクリニックもあり、料金に関しては総合的に判断する必要があります。

人工乳腺法は2種類の施術を選べます。腋窩法なら75万円ほどかかり、アンダー法であれば85万円程度です。オプションになりますが腋窩法と内視鏡を組み合わせる手術もあり、その場合は95万円ほど必要です。ヒアルロン酸注入豊胸法は1ccの注入につき2,500円~3,000円くらいで、別途で施術費用が10万円程度かかります。

脂肪注入法の場合は、300ccで120万円程度かかり、別途で静脈麻酔(80,000円ほど)と血液検査(11,000円ほど)が必要です。

エイジングブレスト豊胸法ならヒアルロン酸の費用に加えて抜去費がかかります。抜去の費用はバストの形状によって違うため確認しなければなりません。

豊胸術の痛みとピーク

豊胸を目的とした手術には麻酔を使用します。人工乳腺法、脂肪注入法、エイジングブレスト豊胸法の場合は全身麻酔ですし、注射だけを行うヒアルロン酸注入豊胸法は局所麻酔となります。術後の痛みは人工乳腺法と脂肪注入法の場合は3日~7日で治まります。

エイジングブレスト豊胸法なら軽度で済みますし、ヒアルロン酸注入豊胸法は痛み止めをおこなうため安心です。また、痛みの他に腫れや内出血にも注意する必要があります。人工乳腺法と脂肪注入法の場合は2週間程度で治まり、エイジングブレスト豊胸法は軽度です。

ヒアルロン酸注入豊胸法は腫れや内出血の心配がありません。腫れや内出血が起こる人工乳腺法と脂肪注入法でも痛みのピークは数日で、ヒアルロン酸注入豊胸法やエイジングブレスト豊胸法ならほとんど痛みのことを気にする必要がありません。

ただし、脂肪注入法の場合はダウンタイムへの配慮が要ります。術後3週間程度で脂肪に栄養を送る血管が落ち着きます。その間はバストを揺らすような激しい運動を避けなければなりません。